こんにちは、サックリです!
この記事では、『永劫館超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした』のあらすじや魅力を紹介!
主人公が謎の美少女の最期を看取った瞬間、二人はちょうど24時間前に戻っていた・・・。
そんな不思議な場面から始まるミステリーです!
内容に惹かれて読みましたが、
一気読みするくらい面白かったです!
こんな方にオススメ!
- 「タイムループ」モノが好き
- 「館」×「密室」ミステリが好き
- 本格ミステリを読みたい
書籍情報
作 者:南海 遊
出版社:星海社
ページ数:368
今回紹介する作品
STORY
母親の危篤を知ったブラッドベリ侯爵家の長男・ヒースクリフは、生家「永劫館」に帰省する。
しかし、ヒースクリフが到着した時には、母親はすでに亡くなっており、彼は喪主として葬儀と遺言状の公開を取り仕切ることに。
葬儀のため、叔父や牧師など顔見知りが集まる中、リリィジュディス(リリィ)・エアという謎の美少女が永劫館を訪れる。
母親の遠戚を名乗るリリィだが、誰も彼女の存在を知らなかった。
翌日、葬儀の参列者たちを悲劇が襲う。
ヒースクリフの妹・コーデリアが密室となった部屋で首を切断された状態で発見されたのだ。
ヒースクリフは、最愛の妹を失った悲しみに打ちひしがれてしまう。
そんな中、地下室でリリィが何者かによって銃撃される事件が発生。
現場に遭遇したヒースクリフに死に際のリリィは「私の目を、最後まで見つめていて」と告げる。
そして、リリィは亡くなった・・・はずだった。
ところが、二人は前日に戻っていて・・・。
見どころ
「館」×「密室」×「タイムループ」
この物語は「館」×「密室」×「タイムループ」が組み合わさった作品です。
「館」
舞台は、主人公ヒースクリフの生家「永劫館」。
大嵐によって「クローズド・サークル1」と化した洋館で連続殺人事件が起こります。
「密室」
第一の被害者であるコーデリアは、密室にもかかわらず凄惨な死2を遂げてしまいます。
誰が、なぜ、どのように彼女を殺したのか。
不可能犯罪を実行した犯人を見つけ出すため、ヒースクリフはリリィと共に行動します。
「タイムループ」
亡くなる直前のリリィと目を合わせたヒースクリフは、彼女と共に1日前にタイムループします。
リリィの正体は魔女だったのです。
彼女の「呪い」によってタイムループを繰り返すことで犯人探しをするのが本作の基本構造。
妹を葬った犯人を見つけたいヒースクリフと、ある事情によって殺されるわけにはいかないリリィによる急造コンビが同じ時間を繰り返します。
「館」×「密室」は、先例が色々あります。
(島田荘司『斜め屋敷の犯罪』講談社、など)
ですが、そこに「タイムループ」というSF要素を加えている作品は珍しいと思います。
オリジナリティ溢れる展開を楽しむことができること間違いなしです!
「道連れの魔女」リリィの呪い
「道連れの魔女」という異名を持つリリィ。
彼女の“呪い”は以下の3つです。
『死に戻り』
これは、リリィの死亡と同時に発動されます。
発動されると、リリィが亡くなった時点からちょうど1日前(24時間前)に戻されます。
最大3日前まで戻ることが可能らしいです。
『道連れ』
リリィと最期に目を合わせた人物に『死に戻り』と同じ効果を与えます。
ヒースクリフは、この制約があることによって彼女と共に行動することになります。
彼女が絶命する際に傍にいなければ目を合わせることができないからです。
『不老不死』
リリィは見た目こそ17歳の美少女ですが、呪いによって不老不死になっているだけで実際は100年以上生きています。
これら3つの“呪い”が物語のカギを握ります。
鮮やかな伏線&タイトル回収
本作は伏線回収が気持ちいい。
様々な要素が詰め込まれているにもかかわらず、作中の違和感や不明点が解決シーンやその直前で全て解消されます。
コーデリアやリリィが連続して殺される謎、ヒースクリフの過去など読みどころ十分です。
また、『永劫館超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした』という変わったタイトルの謎も明らかになります。タイトル回収というやつですね。
『永劫館の殺人』でも成立する中で、なぜ「超連続」「魔女はXと死ぬことにした」という変わったワードが題名に組み込まれているのか。
ぜひ、注目してみてください!
さいごに
『永劫館超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした』(南海遊,星海社)を紹介しました。
この記事のポイントは、以下の通り。
- 「館」×「密室」×「タイムループ」
- 「道連れの魔女」リリィの呪い
- 鮮やかな伏線&タイトル回収
興味を持った方は、手に取ってみてください!
- 何らかの原因で外への行き来が困難な状態、またその状況下で事件が起こるミステリ。
他に「がけ崩れで救助が遅れる」「吹雪いて外に出られない」などのパターンがある。
↩︎ - 犯人が密室トリックを用いる理由は「事故」あるいは「自殺」に見せかけるためである。
そのため、明らかに他殺である凄惨な方法を犯人が採るメリットは正直言ってない。 ↩︎
おまけ:この作品もオススメ!
『七回死んだ男』/西澤保彦
STORY
高校生の久太郎は、不定期に「反復落とし穴」に嵌まるという特異体質を持っている。
「反復落とし穴」に一度嵌まってしまうと、「同じ日を九回繰り返す」ことになるのだ。
新年会、資産家の祖父が自身の後継者を決めることを宣言したことで、親族は揉め始めてしまう。
そしてなんと、祖父が親族の誰かによって殺害される事件まで発生してしまった。
運良く?「反復落とし穴」に嵌まった久太郎は、祖父を救うため試行錯誤を重ねるが…。
ライトな文体で読みやすく、
ギャグみたいな展開が続く。
でも、伏線回収が本当に鮮やか。
〈タイムループ〉ミステリの名作!
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